「忙しい」と「暇」

ことば

「忙しい」という言葉

忙しいという文字の通り、「忙しい」は心を亡くす。


ずっと忙しく働いていると、いつの間にか心を失っていくことがあります。


そもそも、忙しいとは、自分の意思や予定・ペースで動けないネガティブな意味だったのではないでしょうか。


忙しい日々が続くと、ふと我に返った時に、「何のために働いているんだろう」「忙しくてやりたいことに時間が作れない」「こんなに忙しく働いているのに報酬が少ない」などと思うことはありませんか?


そして、さらに忙しい日々が続くと、ふとした瞬間をも、我に返るということさえできない。
そうなると、もう何も考えられなくなってしまいます。


自分のことも分からなくなり、心も体もただ疲労だけが溜まっていく。

ただ反面、忙しくしている生活の中から、知らず知らずのうちに、自分の生きがいを見つけられる時もあります。

色々な人と接すると、また世界が広がるので、ポジティブな意味での「忙しい」は悪い事ばかりではないのかもしれません。


国語辞典的な「忙しい」の意味

一般的な国語辞典では、「忙しい」は「することが多くて、心や体に余裕がない状態」を指します。


広辞苑では以下のように説明されています:

  • 忙しい(いそがしい):「することが多くて、心や体に余裕がない状態。また、せわしないとも読み、落ち着かないさまを表す。」


この意味では、忙しいとは「多くのことをこなさなければならない状態」や「心身に余裕がない状態」として捉えられます。


仏教における「忙しい」の意味

仏教において「忙しい」という言葉は、一般的な国語辞典の意味とは異なる解釈がされることがあります。特に、「忙しい」は「心が亡くなる」状態を指し、これは仏教の教えにおける「無為の状態」や「心の空虚さ」と関連しています。


そして、「忙しいこと」は「心が亡くなる」状態を意味するため、修行の妨げとなるとされています。


そのため、仏教では「忙しい」を必ずしも肯定的に捉えるわけではなく、むしろ「心の空虚さ」や「無為の状態」を避けるべきものとして教えられているそうです。


相反した「暇」という言葉

「忙しい」の反対に、「暇」という言葉があります。

暇という言葉も、あまりポジティブな意味で使われていないことも多いですよね。

友人との約束の際には、便利な言葉として「この日空いてるー?」「私いつでも暇だから遊ぼー」とか。 実際、本当に暇ではなくても使います。

「暇」というのは、あまり良くないことだと、仏教の教えにもあると聞いたことがあります。

たしかにSNSでアンチコメントを書く人を「暇だからそんなこと書き込むんだよ」とか、悪口を言う人に対しても「あの人、暇だからいつもそんな事言ってるんだよ」なんて使うこともありますよね。

暇だと、余計なことや悪いことを考えてしまう。

今、看護師の仕事を辞め、時間のある私はまさにその状態かもしれないです。考えても仕方のないことをひたすらぐるぐる考える。何か情熱的に心動かされるものが無い状態。

そこで、本来の「暇」とは何か考えてみました。

国語辞典的な「暇」の意味

一般的な国語辞典では、「暇」は「何もすることがない時間」「自由な時間」「仕事や用事がない状態」


広辞苑では以下のように説明されています:

  • 暇(いとま):「することがない時間。自由な時間。用事がない状態。」

この意味では、暇は「何もしていない状態」や「自由な時間」として捉えられ、必ずしもネガティブな意味合いだけではなく、リラックスや自己充実の時間としても考えられます。



仏教における「暇」の意味

仏教において「暇」という言葉は、一般的な国語辞典の意味とは異なる解釈がされることがあります。特に、「暇」は「心が空虚である状態」や「無為に過ごすこと」を指す場合があり、これは仏教の教えにおける「無駄な時間の過ごし方」や「無為の状態」と関連しています。

そして「暇を持て余すこと」は「無為」に繋がり、修行の妨げとなるとされています。このため、仏教では「暇」を必ずしも肯定的に捉えるわけではなく、むしろ「心の空虚さ」や「無為の状態」を避けるべきものとして教えられています。


忙しいと暇の間で考える、自分の時間

となると、より難しいですね。


私は個人的に、仏教的な捉え方をしていたのもあり、できれば忙しくもなく暇でもない状態に自分を置きたいと思いました。


「忙しい」と「暇」の間には、ちょうど良い、自分を守るような時間や状態があるのかもしれません。そして、その状態を示す適当で便利な言葉もあると嬉しいです。


それは、心も体もほどよく落ち着き、でも退屈ではない、そんなバランスの取れた時間。


皆さんにとっても、忙しさや暇の間にある、自分だけの「ちょうどいい時間」はどのようなものだと思いますか?


ふと立ち止まって、自分の心と体を感じる——そんな時間を、少しずつ意識してみるのも良いかもしれません。

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