訪問看護ってどんなサービス?

看護

はじめに

これまで、訪問看護について、看護師向けに書いてきましたが、
今回は、利用者さん・ご家族向けにサービス内容を説明していきます。


様々なリンクも貼っていくので、もちろん訪問看護の分野に興味のある方やすでに訪問看護の分野で活躍されている方にも少しでも参考になればと思います。


本記事のボタンや詳細案内は、リンクや細かい追加説明になります。
お時間のあるときに、ゆっくり読んでみてください。



「訪問看護って聞いたことはあるけど、何をしてくれるの?」
そんな方のために、訪問看護が自宅でどんな役割を果たすのかを解説します。

訪問看護とは?

訪問看護は、自宅で療養している方やご家族が安心して生活できるよう、看護師等が医療と生活をサポートするサービスです。


サービスを利用するにあたって、必ず必要になるのは、
主治医の先生が交付する「訪問看護指示書」です。それを、ステーションに交付していただき、各ステーションと契約を結んだ上で、ご自宅に伺ってサービスを行います。


訪問看護指示書とは

医師が「どんな看護をどのくらいの期間、目的で行うか」を指示する書類です。

実際のケアは、この指示書に沿って訪問看護師が行います。
訪問看護を始めるときの“処方せん”のような役割を持っています。

たとえば、

など、必要な看護内容が医師から具体的に書かれています。

訪問看護指示書の追加詳細についてはこちら

A4サイズの決まった様式に記載して頂くのですが、実際はそこまで詳細を書いて下さっている先生は少ないです。ですが、状況に応じて、実際訪問に伺ってから直接先生に必要な内容を確認しながら対応していくので安心してください。


指示期間は、状態に応じて交付してもらうのですが、主に1か月間で出して頂ける事が多いです。状態が安定している場合は、最大6カ月分を交付してもらうこともありますが、主治医が状態を診て、その期間を判断して交付します。


そのため、受診の度に受診結果のお知らせなどは基本的にはありません。


よく利用者さん・ご家族から聞かれるポイントでもあるのですが、病院の受診状況は共有されないことが殆どです。


できれば受診時に検査結果の用紙などを印刷して受け取って来て下さると、訪問時に例えば血液検査結果など聞きそびれたことなどは代わりに詳しく説明できます。
そして、受診時の状況も共有して下さると、よりスムーズにケアが受けられます。


訪問診療医の場合は、診療時のレポートをFAX下さったり、ICTでタイムリーに連絡をくださる場合もあります。もちろん、緊急性の高い場合は電話連絡をくださり、連携しています。


主治医は、病院やクリニック、在宅の訪問診療医の場合など。その方によって変わってきますが、基本的には指示書は一人の先生が書くことになっているため、複数の先生に書いてもらうことはできません。


そのため、在宅で療養するメインの疾患等を診てもらえる先生に交付していただくことが大切です。病院に通院自体が困難な場合は、「訪問診療医」に診てもらうことができます。在宅医療は進んできているため、24時間365日対応していただけたり、内科・皮膚科・精神科の医師も在籍しているような所も増えてきています。


訪問看護指示書の交付依頼についてはこちら

訪問看護指示書の交付依頼ついては、直接主治医とステーションとやり取りを行うことが殆どのため、利用者さん・ご家族に何か文書を用意していただく必要はありません。
中にはごく稀に、総合病院などの病院が、個人情報取り扱いの関係で利用者さん・ご家族のみが訪問看護指示書を受け取れるという場合もあります。


訪問看護を利用したいという場合は、まずは主治医またはケアマネージャーさんに相談することをお勧めします。そうすると、病院の相談窓口で、具体的な今後の流れの説明を受けられる所もあります。

医療保険とは?

病院に行くときは、健康保険証を持って診察や検査、治療を受けますよね。
訪問看護ステーションでも同じように、保険を使ってサービスを受けることができます。


医療保険制度については、法改正が2年に1回行われます。


医療保険は、病気やけがの治療、医師の指示に基づく医療的ケアに使われます。

例えば、

といった「病気やけがの治療・管理」に関わるケアです。
病院に通うのが大変な方も、自宅で同じ医療サービスを受けられるのが訪問看護です。

介護保険とは?

介護保険は、日常生活で手助けが必要な方が使える保険です。

例えば、

など、「生活を安全で快適に過ごすための支援」に使われます。
病気の治療というよりは、日常生活のサポートや自立支援が中心です。


介護保険については、介護保険を使って訪問介護やデイサービス、訪問看護などを受けるには、まず「介護認定」を受ける必要があります。

ステップ内容
1. 申請する市区町村の窓口やオンラインで申請します。
申請すると、介護が必要かどうかを調べるための調査が入ります。
2. 調査を受ける認定調査員が自宅に来て、日常生活の様子や体の状態について聞き取り・確認を行います。
3. 主治医の意見書を提出医師に、健康状態や介護が必要かどうかについて意見を書いてもらいます。
4. 審査・判定調査結果と医師の意見書をもとに、市区町村の介護認定審査会が判断します。
その結果、「要支援1〜2」や「要介護1〜5」といった介護度が決まります。
5. サービスの利用開始認定を受けたら、ケアマネジャーに相談して自分に合った介護サービスのプランを作り、利用を始めることができます。
介護保険申請~利用開始までのポイント

介護認定を受けることで、訪問看護やリハビリ、介護サービスを自己負担1〜3割で受けられるようになります。


申請を出してから、認定が下りるまでは約1か月はかかる可能性があるため、早めの申請をお勧めします。


介護保険は原則、65歳以上の方(第1号被保険者)や、特定の病気で40〜64歳の方(第2号被保険者)が利用できます。


介護保険制度については、法改正が3年に1回行われます。


訪問看護で受けられること

サービス内容具体例
健康チェック血圧・体温測定、服薬管理、体調観察、精神面の観察など
医療的ケア褥瘡(床ずれ)や創傷のケア、呼吸器・点滴管理、医療機器のサポートなど
リハビリ支援関節運動、歩行練習、日常動作の練習など
生活相談自宅環境の整備、介護用品の提案、生活リズムの相談など

訪問看護は、「医療」と「生活」の間をつなぐ大切な役割を担っています。


訪問看護のメリット

  • 自宅で療養できる安心感
     → 通院の負担が減り、自分らしい生活を続けられます。
  • 体調の変化に早く気づける
     → 看護師が定期的に訪問することで、病状の悪化を防ぐことができます。
  • ご家族の負担を軽減
     → 医療的なケアを任せられることで、介護の負担が和らぎます。
  • 医療と生活を橋渡し
     → 医師・ケアマネジャー・リハビリスタッフなどと連携し、総合的に支えます。


利用の流れ

訪問看護を始めるには、いくつかのステップがあります。
まず主治医やケアマネジャーに相談し、必要な手続きや契約を経て、訪問が始まります。以下に、利用までの流れをまとめました。

ステップ内容
主治医に相談訪問看護が必要かどうかを確認し、許可をもらいます。
ケアプランの作成
(介護保険の場合)
担当のケアマネジャーが計画を立てます。
介護事業所との契約も必要。
訪問するステーション決定(実際は1~3は同時進行のことが多い)病院やケアマネージャーが依頼先のステーションを探してくれることが多いですが、直接ステーションに依頼することも可能です。
契約・担当者会議ステーションと契約を行います。利用する上でのステーションの説明や料金の説明などを受けます。
担当者会議とは、ケアマネージャーや訪問する看護師等が
情報を共有し、利用される方の目標やケア内容の決定を行います。
初回訪問看護師が生活状況などを確認し、
今後のケア内容を一緒に考えます。
リハビリスタッフが訪問する場合でも、必ず看護師が初回に訪問し、状態を確認させていただき、多職種で連携します。
定期訪問健康チェック・医療ケア・生活相談などを継続的に行います。週1~2回の利用の方が多いですが、状態によって利用頻度や時間、内容も変わってきます。

このように、訪問看護は一度きりの支援ではなく、生活の中で寄り添いながらサポートを続けていくサービスです。年単位や10年以上利用している方など様々です。


よくある質問(Q&A)

Q1:費用はどのくらいかかりますか?
医療保険や介護保険を利用できる場合は、前述した通り、自己負担は1〜3割程度です。
公費対象の場合もあります。
ご利用前に、月々の概算額をケアプラン作成時に提示されます。
支払いは月毎の支払いになり、口座引き落としのステーションが多いです。

介護保険サービス外の別途料金が場合もあります。

介護保険外のサービスを利用する場合は、別途料金がかかることがあります。
介護保険は介護度によって、使用できる点数が決まっています。それに応じて、
ケアプランが作成されるのですが、緊急対応や急な状態変化によっては、この点数上限をオーバーする場合もあり、その際は別途料金(保険適応外)がかかることもあります。



Q2:どのくらいの頻度で来てくれますか?
週1回〜数回程度が多いです。体調や主治医の指示に応じて調整されます。
医療保険に関しては、週3回が上限になりますが、条件によっては毎日訪問が可能な場合もあります。


Q3:病院に通えない人でも利用できますか?
外出が難しい方でも、自宅で医療ケアを受けることができます。
退院後の在宅療養や、慢性疾患・終末期のサポートにも対応しています。


まとめ

訪問看護は、自宅で安心して療養しながら、自分らしい生活を続けるための医療サービスです。体のケアだけでなく、生活やご家族の支えにも力を入れています。


気になる方は、主治医やケアマネジャー、またはお住まいの地域の窓口へ相談してみましょう。みなさんの生活に合った「看護の形」が、見つかると思います。

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