世界の看護師はどう働いているのか

看護師エッセイ

看護師を守る文化の違い

看護師は国家資格ということもあり、転職がしやすい職業の1つでもあります。
語学留学を目指す人、青年海外協力隊として異国の医療に飛び込む人など、海外を行き来しながら自由に生活したり、行動力を発揮する人も多いようです。

私も以前、英語に興味を持ち留学を考えたことがありますが、現実的には難しく夢はそっと眠りました。それでも海外への憧れは消えず、旅行や外国人が集まる場所でのコミュニケーションに挑戦した日々は、今では懐かしく感じます。

アメリカ人の友人や先輩の「海外だと休みも給与も恵まれている」という言葉は、心のどこかに残っていました。果たして世界の看護師は、どのような環境で働いているのでしょうか。


世界の看護師はどう働いているのか

世界の看護師 比較データ表(欧米+アジア圏)

給与(日本円換算目安)労働環境・休暇データ元
日本約480万円夜勤あり、人員不足厚労省
アメリカ約1,080〜1,200万円週36〜40hAmerican Nurses Foundation、EAP公式
イギリス約646〜784万円年休27日+祝日RCN公式、NHS公式
ドイツ約630〜715万円労働時間管理厳格JETRO
フランス約538万円週35時間制フランス労働省
韓国約51万〜499万円勤務時間長いAFPBB、中央日報
タイ約71,000〜119,000円/月地域差ありHLCA
フィリピン約52,500〜78,700円/月海外志向高いJICA

※2023〜2025年の報道・公的資料・転職支援サイトを参考にしています。円換算は目安です。地域や病院によって差があります。


日本国内の看護師向け支援

  • EAP(Employee Assistance Program)
    一部病院で導入。カウンセリングや生活相談、ワークライフバランス支援。
  • 病院内カウンセリング・心理士相談
    ストレス、バーンアウト、悲嘆などに対応。規模の大きい病院で設置されやすい。
  • ナースセンター・看護協会の相談窓口
    雇用・労働条件、メンタル相談、キャリア相談が可能。
  • グリーフケア・ピアサポート
    患者死亡や過重ストレスに対する同僚同士の支援制度が一部病院で導入。
  • 研修・オンライン教材
    ストレス管理、マインドフルネス、自己ケアなどの教育プログラム。
  • その他の支援
    育児・介護休暇制度、キャリア相談、職能開発研修

実際、日本でも制度はありますが、利用できる人は限られ、相談するエネルギーが無かったり、どうせ変わらないと諦めてしまうこともあると思います。

私自身も、匿名でオンラインなどの方法でなければ相談しにくいのが正直なところです。それでも、少しずつ現場の声を届けることは、体制を変えていく力になると感じています。


世界の看護師向け支援制度

メンタル支援その他の支援制度
日本EAP・病院内カウンセリングナースセンター相談、研修・教育プログラム、キャリア相談、育児・介護休暇制度
アメリカEAP、Nurse Well-Being、Code LavenderFMLA(家族・医療休暇)、健康保険、退職金(401k)、研修・能力開発制度
イギリスRCNカウンセリング、NHS PNA/PNEAgenda for Change(賃金・キャリア制度)、能力開発支援、育児休暇制度
ドイツ病院による心理カウンセリング夜勤・休日手当、Tarifvertrag(労働協約)、育児・休暇制度、研修
フランスメンタルサポートあり夜勤・祝日手当、能力開発制度、育児・休暇制度
韓国専門看護師制度あり労働時間規制、過労防止策、育児休暇制度
タイ制度化は限定的労働保護制度あり(最低賃金・休日)、研修制度
フィリピン施設差あり賃金規制、海外就労サポート、研修制度

欧米はチームで支える文化やピアサポートが整い、給与・休暇・研修・育児支援など総合的に看護師を守る制度が整備されています。

アジア圏は改善の余地があり、メンタル支援やその他の制度はまだ限定的なようです。


欧米とアジアの看護師文化の違い

項目欧米アジア
休暇・労働時間休暇取得が推奨され、ワークライフバランス重視。「休むこと=当然」の文化休暇取得は難しい場合が多く、長時間勤務が美徳とされる傾向
メンタル・心理サポートEAP・ピアサポート・短期カウンセリングが制度化。チームで支え合う文化制度は限定的。個人の忍耐や自己犠牲が美徳とされ、相談ハードル高め
給与・キャリア制度給与・研修・育児休暇など制度化。能力開発やキャリア形成が明確給与は低めで地域差大。研修や能力開発の機会は限定的
チーム文化・安全管理チームで支え合う文化が強く、過重労働防止や安全管理制度も整備個人に依存する部分が多く、過重労働・バーンアウトのリスク高め

世界の看護師文化の違いを見ていると、「制度」と「文化」の両方が働きやすさに大きく影響していることがわかります。

欧米では、休暇やメンタルサポート、研修・能力開発の制度が整っているだけでなく、「休むことは当然」「困ったときはチームで支え合う」という文化が根付いています。

そのため、相談もしやすく、心身の健康を保ちながら働ける環境が整っています。
私も、こうしたチーム支援の仕組みが日本でももっと広がったらいいなと思います。

一方、アジア圏では制度がまだ限定的で、長時間勤務や個人の忍耐が美徳とされる傾向があるようです。相談や支援の文化も十分に根付いておらず、バーンアウトや過労のリスクが高いのが現状です。

おわりに

どの国の看護師も、それぞれの場所で誰かを支えています。
しかし、「支える人」を守る仕組みは、まだ十分とは言えないのかもしれません。

日本も制度自体はあるものの、利用するハードルが高く、文化の浸透はまだ十分とは言えません。欧米のように、制度と文化がセットで根付くことで、看護師が安心して働き続けられる環境がもっと広がっていくことを願っています。

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