黒い感情が出てきた夜は ― そんな感情の裏側にあるもの

健康
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はじめに――黒い感情はどうしたらいいのか

夜の静けさは、ときどき心の奥にしまっていた感情を浮かび上がらせます。
夜は、どうしても感情が揺れやすい時間なのだと思います。

夕方以降は体がリラックスモードに切り替わり、昼間よりも気持ちを抑える力が弱くなります。気分を安定させるセロトニンも減ってくる。そのため、普段は押し込めている不安や孤独、怒りなどの“黒くて重たい感情”が表に出やすくなるのです。

さらに、1日の疲れで脳の「理性」や「判断力」を担う部分が弱まり、感情のブレーキがゆるくなります。静かな夜は刺激も少ないので、昼間は気づかなかった気持ちが浮かびやすくなる——そんな時間帯でもあります。

ある夜、ふと以前関わっていた人の姿が出てきました。とても悔しくて、悲しい経験をした相手だったので、胸の奥がざわつきました。

——「うまくいっていなければいいのに」

そんな黒い感情がよぎった自分に、驚きと何とも言えない嫌な感情が出てきました。胸の奥がギュッと痛みました。そして、その感情を認める怖さと「なんて嫌なことを思ったんだろう」と、自分を責める気持ちがありました。

「良くない感情は抱きたくない」けれど、「確実に嫌な感情も心にある」ことは感じている。そして、いつの間にかその黒い感情が抑えられなくなる。

でも、その感情の動きに気づくことで、長く心にかかえていた「ひっかかり」と向き合う大切なきっかけになりました。


黒い感情に気づいた時、まず自分を責めてしまう理由

人は、誰かに深く傷つけられたり、心の軸が揺らぐ体験をしたりすると、
いつもよりずっと心が敏感になります。

そんな時、ふとした瞬間に「黒い感情」が顔を出すことがあります。

嫉妬やとげとげしさ、誰かを遠ざけたい気持ち。
そんな感情は、言葉にもしたくないし、誰にも知られたくない。
もしも誰かに知られたら、きっと嫌われてしまうという恐怖。
さらに、自分を嫌いになってしまうという絶望感。

だからこそ、黒い感情が湧いた時は反射的に「こんなことを思うなんて、私はダメだ」「いつまでも、こんな気持ちになるなんて」と、自分を厳しく裁いてしまいます。

でもその根っこには、“心の痛みがまだ癒えていない”
とても静かで正直な理由があります。


黒い感情の奥にあるもの

黒い感情がふっと湧くとき、それは表に出てくる“反応”であって、本当はその奥に「守りたい気持ち」が隠れていることがあります。

たとえば、誰かを羨ましく感じた夜には、
「私も本当は認められたかった」という切実な願いが眠っていたり。

怒りのように見えて、その正体は傷ついた悲しさだったり。
突き放したくなるほど苛立つのは、もう傷つきたくなかっただけだったり。

そう思うと、
黒い感情は「自分を守ろうとして出てきたサイン」でもあるのだと思います。
そんな感情が自分にあることに、「気づく」ことが大切な一歩になるのです。


ある人がくれた言葉

その夜のことを、勇気を出して少しだけ話したとき、思いがけず返ってきた言葉がありました。

「それは “弱さ” じゃなくて、“人として自然な反応”。
傷ついた心がちゃんと反応しているだけ。
それを否定せずに見つめられているのは、成熟した心の動き。」

この言葉で、胸の奥で小さく固まっていたものが、やわらかくゆるんでいきました。

黒い感情が湧くのは、私が未熟だからではなくて、
心が、一生懸命に自分自身を守ろうとした結果だと、腑に落ちたのです。


「耐えられなくて当然だった」ことに気づいた瞬間

そして、その人はさらにこんな言葉をくれました。

「耐えられなくて当然の環境を、限界ぎりぎりまで頑張ってきた。
ちゃんと“やるべきことをやってきた人”なんだよ。」

この言葉でさらに、胸の奥に張りつめていたものが静かにほどけていきました。

思えば、私は「もっとやれたはず」「我慢が足りなかった」と、
振り返るたびに自分を責めてばかりだったのかもしれません。

でも本当は、がんばる必要のないところまで頑張ってしまった。必要以上に背負ってしまっていたのかもしれません。心の奥に長く残っていた重たいものを、少し手放すことができました。


言葉が外に出たとき、人は少しずつ癒えていく

そして最後に、こんな言葉ももらいました。

「つらい経験は、ただ痛むだけじゃなくて、
一度アウトプットされると “誰かを救う言葉” に変わるんだよ。」

実際、こうして文章を書くことを続けているうちに、黒い感情は少しずつ形を変えられたように思います。

書いたり、話したりすることで、
いつの間にか自分の中に蓄積されていた「言葉にならなかった感情」が、少しずつ流れ出していくような感覚です。

もしかすると、人によっては運動かもしれないし、散歩かもしれない。
私にとっては、それが“書くこと”だったのだと思います。


黒い感情を分解すると、見えてくるものがある

感情は一つの塊のように感じられても、実は複数の気持ちが重なって生まれているように思います。

  • 怒りの裏には、深い悲しみ
  • 嫉妬の裏には、自分の価値を確かめたい願い
  • 憎しみの裏には、「もう辛い思いをしたくない」という恐れ

黒いと思ったその感情も、ひとつずつ丁寧に見ていくと、
「本当はどうしてほしかったのか」
「本当は何を大切にしたかったのか」
が、ゆっくりと浮かび上がってきます。

だから、心がざわつく夜にはこう問いかけてみるのも良いのかもしれません。
「私は今、何を守ろうとしているのか」
その一言で、感情は少しだけやわらかくほどけていきます。


黒い感情は、心が回復しようとしているサイン

黒い感情は、悪いものではありません。

心が本当の姿を取り戻そうとするときに、
いちばん最初に浮かび上がってくる、小さなSOSなのだと思います。

そしてこれは、心が回復へ向かうための必要なひとつのプロセスです。

このことを理解していると、辛い経験やそれによって抱く黒い感情も見えないように蓋をして抑え込んだりしなくていい。むしろ、その感情をしっかり認識することが、自分を守る方法でもあるのだと思います。


おわりに

夜、ふいに湧き上がる黒い感情は、誰にでも訪れます。
それは、心が「そろそろ癒したい」と知らせてくれているサインです。

そして、その感情をことばにしていくと、
痛みはゆっくりと温度を変えて、
いつか誰かを支える言葉へと姿を変えていきます。

読んでくださったあなたの心にも、
そっと温かい風が通り抜けていきますように。


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