※前回の記事「クライシスプランとは?…」では基本の作り方をご紹介しました。
今回は補足編として、実践ポイントをまとめています。
はじめに
クライシスプランというと、
「しっかり書かなきゃいけないもの」
「正しく作らないといけないもの」
そんなふうに感じる方もいるかもしれません。
でも実際には、
クライシスプランは“うまく書くもの”ではありません。
空欄があっても大丈夫ですし、
途中まででも、見返すだけでも意味があります。
大切なのは、
「自分が少しでも楽になるためのヒントがあること」です。
一人で作らなくても大丈夫です
クライシスプランは、
1人だけで頑張って作るものではありません。

ご家族や支援者、医療者など、
誰かと一緒に考えながら作っていくことも大切です。
例えば、ご本人が書きづらいことも
周りの人が気づいたことを補足できるので、
より正確に状態を伝えられます。
特に、つらい時期には
自分のことを言葉にするのが難しいこともあります。
そんなときは、周りの人が気づいた変化を
そっと書き足していく形が助けになります。
支援する側が、状況をフィードバックするときに、
分かりやすく説明するツールとしても利用できます。
例えば、訪問時に表情が落ち込んでいるとき、
フェイススケールを一緒に記入するだけでも、
次回の訪問計画やサポートに活かせます。
ご本人と確認しながら、
できるだけ”しっくりくる言葉”を使うのもおすすめです。
今はどの対処方法が合っているのか、
パッと見て分かるものが理想です。
書けないときがあっても大丈夫
訪問看護の現場でも、
つらいときは考えること自体が負担になったり、
元気なときは制限されるように感じたりする場面を多く見てきました。
だからこそ、
「今は作れない」という状態も自然なことです。
無理に完成させなくてもOKです。
「書けるときに、書けるところから」で大丈夫です。
メモに一言「今日は何もできなかった」と書くだけでもOK。
元気なときにまとめて書き足すこともできます。
すべての人に合う方法ではありません
クライシスプランは、とても良いツールですが、
すべての方に合うわけではありません。
例えば、
・言葉で整理することが得意な方
・構造化されたものが安心につながる方
には使いやすい一方で、
・言葉で表現することが難しい方
・考えること自体が負担になる方
には、かえって難しく感じることもあります。
言葉で表現することが難しい方には、
フェイススケールや数字で表す方法、
絵やアイコンを使う方法など、
視覚的なツールを組み合わせると使いやすくなります。

クライシスプランが合わない場合の選択肢
もしクライシスプランが合わない場合は、
別の方法でもまったく問題ありません。
例えば、フェイススケールのように
「今の状態」を視覚的に表す方法でも十分です。
他にも、1日の気分を数字のスケールで
カレンダーや日記に書いてみる方法もあります。

このようなツールは、
統合失調症やうつ病、双極性障害など、
様々な精神疾患のある方にも活用されています。
大切なのは、病名に関わらず、
「自分の状態をなんとなくでも把握できること」です。
また、状態を数字や顔の表情で可視化することで、
医療者や支援者が状況を理解しやすくなるだけでなく、
ご本人も気分の変化に気づきやすくなります。
重要なのは、どの状態も否定せず、そのまま受け止めること。
「こうあるべき」ではなく、
今の自分の状態をそっと見守ることが、セルフケアの第一歩です。
「一緒に使う」「正解のない」ツールとして
クライシスプランは、
一人で頑張るためのものではなく、
「一緒に支えるためのツール」でもあります。
その方の変化の周期や、
なにがトリガーになったのかというのも
時間をかけて見えてきます。
・どう関わってほしいか
・どんなサポートが助かるか
それを共有できるだけでも、
関係性が少し楽になることがあります。
いかに周りに自分のことを知っておいてもらえるか、
それが安心感へとつながる方も多いです。
関わる人が変わった時も、
ケアの統一にも役立ちます。
クライシスプランに、正解はありません。
書き方も、使い方も、人それぞれです。
書き直してもいいですし、
そのときの自分に合わせて変えていって大丈夫です。
改めて、今回の補足編で意識したいポイントをまとめるとこんな感じです。
- 書けないときも焦らず、「書けるときに書けるところから」
- 支援者や家族と一緒に使うことで、安心感や情報共有に役立つ
- 数字やフェイススケール、アイコンなど視覚的ツールも活用する
これらを意識するだけでも、クライシスプランの使い方がぐっと実践的になります。
おわりに
今回ご紹介したクライシスプランは、
あくまでも「ひとつの形」です。
大切なのは、
自分に合った形で、無理なく使えること。
そして、
少しでも楽になるきっかけになること。
それだけで、十分意味があります。
医療などの現場以外でも、もちろん活用できます。
ポストイットに、
好きなことや気分転換になることを書き出してみます。
それを3つの段階に分けてみます。
例:
「安定してるとき」→散歩、読書、好きな音楽を聴く
「少しつらいとき」→深呼吸、温かい飲み物を飲む
「かなりつらいとき」→信頼できる人に話す、医療者に相談
自分が今日はどんな気分なのか、
何をしたら落ち着くのか、何をしたら気分が上がるのか。
それを知っておくことで、
セルフケアが自然に生活に馴染み、心地よさに繋がります。
PMSや更年期症状、ストレスが溜まりやすい時期にも活かせます。
自分の心や体の状態をそっと見守るための「引き出し」として活用してみてください。
クライシスプランは、
自分の引き出しを増やしたり、
可視化することで、心が整う方法のひとつです。
無理せず、少しずつ、自分に合った形で使ってみてください。
クライシスプラン(PDF)
このクライシスプランは、ご本人だけでなく、
ご家族や支援者の方と一緒に使うことも想定しています。
その人に合った形で、無理のない範囲で使っていただけたら嬉しいです。
ご自由にお使いください。
※1ページ目は、記載例です。
2ページ以降は、シートが3パターンあります。
お好みのデザインをお使いください。
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Cotonoha
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