疲れてるのに眠れないのはなぜ  睡眠と安眠法について

健康
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疲れているのに、布団に入ってもなかなか眠れない。更年期症状のひとつでもありますが、不眠で悩んでいる方は多いかもしれません。私も30代後半頃から眠りの浅さを自覚し、更年期になり更に睡眠がうまくとれないと感じています。

世界と日本の睡眠時間の比較

日本の平均睡眠時間については、調査によって少し差があります。

OECDの「Gender data portal 2021」によると、日本の成人の平均睡眠時間は 7時間22分 です。これは世界平均の 8時間28分 よりやや短め。(OECDの調査では国勢調査や時間利用調査を基に、日常生活で実際に睡眠に費やしている時間を算出)

一方、PNAS(米国科学アカデミー紀要)の国際比較研究「Healthy sleep durations appear to vary across cultures」では、日本の成人の平均睡眠時間は 6時間18分 と報告されています。(自己申告やウェアラブルデバイスを使った計測をもとにしており、対象年齢や計測方法の違いによって、OECDより短く出る結果となっています)

このように、日本の平均睡眠時間は 調査方法や対象によって約6時間〜7時間半の幅 があります。

世界の平均勤務時間は?

世界の平均勤務時間は、

  • 世界平均:1,751時間
  • 日本:1,607時間
  • アメリカ:1,811時間
  • ドイツ:1,331時間
  • 韓国:1,901時間

OECD(経済協力開発機構)のデータによると、2022年の平均年間労働時間は以下の通りでした。働き者の日本人というイメージがあるので、意外な数字でした。

これらのデータから、日本は世界平均と比較して労働時間が短く、睡眠時間も若干短いことがわかります。

日本は勤務時間が長く、眠る時間が少ないのでは?と私は思い込んでいたこともあり、日本の平均勤務時間が世界平均と比較してそれほど長くないにもかかわらず、睡眠時間が短いという点は興味深いですよね。

日本人の睡眠時間が短い背景は?

日本人の睡眠時間が短い背景ってなんだろう。きっと色々な背景があると思います。世界の勤務時間や有給休暇取得率などのデータもありますが、そこだけでは分からない文化的背景や意識などたくさんの要素が影響していると思います。

会社員として勤務している人も居れば、個人事業主、アルバイトなど働き方によってはデータの数値だけでは計れない面も。

1. 文化的背景と社会的要因

  • 仕事優先の文化:日本では「仕事は最優先」という価値観が根強いため、仕事の後も会食や付き合いで帰宅が遅くなることが多いです。

  • 自己犠牲の精神:「自分の時間よりも他人のために」という考え方が、自分のための行動をとる時間を作りづらくなる傾向。

2. 生活習慣や環境

  • 就寝時間の遅さ:夜遅くまでスマホやテレビを観ることで、就寝時間が遅くなったり、睡眠時間が短かくなってしまう傾向がある。

  • 睡眠の質の低下:寝室の環境や就寝前の行動が睡眠の質に影響を与え、結果として睡眠時間が不足していると感じることがあります。

  • ストレスや疾患によるもの:一般的に加齢に伴い、睡眠が浅くなる傾向。睡眠時無呼吸症候群がある方、うつや統合失調症などの精神疾患がある場合。

  • 環境:育児や介護をしている。夜間も起きる必要があり、睡眠が十分にとれない。夜勤など不規則な生活。騒音などの居住環境。

3.休日の取得率と睡眠時間への影響

日本は、他国と比較して休日の取得率が低い傾向にあります。

  • 休日の取得率:OECDのデータによると、日本の年間有給休暇取得率は約50%程度で、他の先進国と比較して低い水準にあります。

このような状況が、平日の労働時間の長さや睡眠時間の短縮に影響を与えていると考えられます。

世界の有給休暇取得率

日本約50%法定年間有給休暇は10日以上。取得率は約50%と低め。
アメリカ約0%法定有給休暇制度なし。企業による付与は任意。
フランス約100%法定有給休暇は5週間(25日)。取得率はほぼ100%。
ドイツ約100%法定有給休暇は4週間(20日)。取得率はほぼ100%。
イギリス約100%法定有給休暇は5.6週間(28日)。取得率はほぼ100%。
スウェーデン約100%法定有給休暇は5週間(25日)。取得率はほぼ100%。
韓国約70%法定有給休暇は15日。取得率は約70%。
中国約60%法定有給休暇は5日以上。取得率は約60%。
  • 日本:厚生労働省「有期契約労働者の労働条件等に関する実態調査」
  • アメリカ:U.S. Bureau of Labor Statistics「National Compensation Survey」
  • フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデン:OECD「Employment Outlook」
  • 韓国:韓国統計庁「Labour Force Survey」
  • 中国:中国国家統計局「Labour Force Survey」

日本人の睡眠の短さは、ここに書ききれない要因があると思います。

もちろん睡眠時間が長ければ長いほど良いというわけではないので、データは少し面白い数字だと思っていただければ。

その方によって適切な睡眠時間は違いますし、時間がとれていれば質が良い睡眠とは言えません。

良い睡眠とは

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると良い睡眠とは以下の状態を指しています。

  • 適切な睡眠時間:成人の場合、6〜8時間が推奨されいる。

  • 寝つきの良さ:布団に入ってから15〜30分以内に眠りに入ることが理想。

  • 中途覚醒の少なさ:夜中に何度も目を覚ますことがない。

  • 朝の目覚めの良さ:目覚めがスッキリしており、日中の眠気が少ない。

  • 睡眠環境の整備:静かで暗い寝室、適切な温度・湿度、快適な寝具の使用。

最新の研究結果と日本人の睡眠

睡眠といえば、柳沢先生という有名な先生がいらっしゃいますね。テレビに出演される時は、とても分かりやすく説明して下さいます。

その筑波大学の柳沢正史教授による研究では、65歳以上の高齢者を平均12年間追跡した結果、睡眠全体の20%を占めるレム睡眠の量が1%減少するごとに、認知症を発症するリスクが9%増加することが明らかになりました Science Portal – 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」

レム睡眠とノンレム睡眠

ノンレム睡眠徐波(脳の休息)身体修復、心拍安定身体の回復、免疫維持
レム睡眠活発(覚醒に近い)筋肉弛緩、心拍変動あり記憶整理、学習、夢の生成

また、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上8時間未満の人と比べて、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患の発症リスクが約5倍高まることが報告されています 厚生労働省


そして、スタンフォード大学の西野先生も以下のように睡眠について言及しています。

スタンフォード大学医学部精神科教授である西野精治教授は、睡眠の質を左右する鍵は「眠りに入った直後の90分」にあると述べています。

この時間帯には、最も深いノンレム睡眠が訪れ、成長ホルモンの分泌や記憶の整理など、身体と脳の重要な回復が行われます。

スタンフォード式「最高の睡眠」の西野精治教授に聞く(1

西野先生の研究結果の要点

ノンレム睡眠の深さ:入眠後の最初の90分間に最も深いノンレム睡眠が現れます。

成長ホルモンの分泌:この時間帯に、成長ホルモンの約70~80%が分泌される。

記憶の整理:海馬から大脳皮質への情報の移動と保存が行われ、記憶の定着が促進されます。

大切な睡眠をとるために

  • 深呼吸や腹式呼吸で体をゆるめる
  • 温かい飲物で体温を整える
  • 軽いストレッチやヨガ

など、さまざまなものがありますが、私も実践してみて効果があったもので面白いものを紹介します。

5分でできる自衛隊式「力を入れて脱力する」安眠法

良い睡眠をとるために、色々な方法を試しました。自衛隊式の睡眠法です。

私はこれを行ったあと、耳栓をして寝ます。耳には副交感神経を刺激できる場所もあり、耳栓は自分の呼吸音が聞こえて、睡眠に入りやすくなりました。では、自衛隊式安眠法について説明します。

1. 漸進的筋弛緩法とは?

  • 「手や腕、肩など一部の筋肉に力を入れ、数秒後に脱力する」方法です。
  • 英語では Progressive Muscle Relaxation(PMR) と呼ばれ、心理学や医療の現場でも安眠法として利用されています。
  • 力を入れる → 脱力 → 体が軽くなる → 脳もリラックス → 眠りやすくなる、という流れです。

2. やり方(手と腕を例に)

  1. 布団に仰向けで横になる
  2. 手をギュッと握り、5秒間力を入れる
  3. 一気に脱力し、手の重みを感じる
  4. これを左右の手で2回ずつ繰り返す
  5. 次に腕や肩、顔、足なども同じように力を入れて脱力する

ポイント:力を入れるときは「ぎゅっ」と、脱力するときは「ふー」と息を吐くとさらにリラックス効果が高まります。


3. 効果

  • 筋肉の緊張がほぐれる
  • 心拍や呼吸が落ち着く
  • 脳も「リラックスモード」に切り替わる
  • 寝つきがよくなり、睡眠の質も向上する

4. ポイント

  • 寝る前5分で十分です
  • 力を入れすぎず、心地よい程度で行いましょう
  • スマホやテレビは消して、静かな環境で行うと効果的です

☆まとめ☆
自衛隊式「力を入れて脱力する安眠法」は、特別な道具も時間も必要ありません。
手足や肩などに軽く力を入れて脱力するだけで、体と心を眠りやすい状態に整えられます。

みなさんが心地よく眠れますように。

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