人の肛門って実はすごい――排便を支える精密な体の仕組み

看護師エッセイ
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はじめに

以前の記事では、
便の形や色、量から
健康状態を知るポイントをご紹介しました。

実は、便だけでなく
「便が通る出口」である肛門にも、
大切な健康のサインが隠れています。

少し変わった話ですが、
人の肛門はとても高性能な器官です。

普段は便やガスが漏れにくく、
その結果として臭いも外へ漏れにくくなっています。

排便するときには自然にゆるみ、大きく広がります。
さらにガスなのか、便なのかをある程度見分けています。

私たちは当たり前のように排便をしていますが、
その裏では多くの筋肉や神経が休みなく働いています。

そう考えると、
毎日何気なく行っている「排便」も、
実はとても精密な体の仕組みなのかもしれません。


人の肛門は驚くほど精密な器官

普段、私たちは便があることを意識せず生活しています。

それは、肛門が常に閉じているからです。

肛門には、

  • 内肛門括約筋(自律神経で無意識に働く)
  • 外肛門括約筋(自分の意思で締められる)
  • 肛門周囲の骨盤底筋群

などがあり、複数の筋肉が協力して便やガスをコントロールしています。

しかも、

  • 普段はしっかり閉じて便やガスが漏れない
  • 便を我慢する
  • 排便時には自然にゆるみ、大きく広がる
  • 内容物の性状をある程度識別する
  • ガスだけを排出する
  • 傷つけば痛みとして知らせる

という、かなり複雑なことを24時間休みなく行っています。


「おならか便か」を見分けている

ここも面白いところです。

直腸に内容物が降りてくると、
内肛門括約筋が一時的にゆるむ「サンプリング反射」が起こります。

この働きによって、
直腸や肛門管の感覚受容器が
内容物の性状(固体・液体・気体)をある程度識別できることが分かっています。

だから私たちは、

「今はおならだけ出せそう」
「これは危ないかも……」

と判断できるんですね。

もちろん、
下痢のときに失敗しそうになるのは、
液体は固体より判別が難しく、保持もしにくいためです。


肛門はなぜ便や臭いが漏れにくいのか

便には強い臭いがありますが、普段はほとんど漏れません。

これは、

  • 内肛門括約筋による常時の締め付け
  • 肛門の粘膜の密着
  • 肛門クッション(血管組織)
  • 外肛門括約筋の補助

などが組み合わさっているためです。

例えるなら、
高性能なゴムパッキン付きの自動ドアと手動ロックが二重に働いている状態に近いかもしれません。


おわりに

私たちは、
心臓や肺、脳などの働きには目が向きやすい一方で、
肛門について考える機会はあまりありません。

しかし、便やガスをコントロールし、
必要なときだけ開き、
普段はしっかり閉じている
――そんな巧みな働きを、肛門は毎日休むことなく続けています。

当たり前のように排便ができることも、
多くの筋肉や神経が連携して成り立っている、
人体の精巧な仕組みの一つです。

便の状態だけでなく、
肛門の痛みや出血、違和感などの
小さな変化にも目を向けてみましょう。

排便をより総合的に理解できるだけでなく、
自分の体が発しているサインにも気づきやすくなります。

毎日当たり前に働いてくれている体に
少し目を向けてみると、人間の体がいかに精巧で、
よくできているかを改めて感じられると思います。

便の状態について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
▶︎ 「便の形・量・色でわかる健康状態|腸活にも役立つブリストルスケールと排便観察のポイント


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