人体って、おもしろい②|子宮と卵巣の役割の違い

健康
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はじめに

みなさんも、テレビやインターネットで
「女性ホルモン」という言葉を目にする機会があると思います。

そんな中で、意外と多いのが
「子宮が女性ホルモンを作っている」
という思い込みです。

実は、これは少し違います。

私自身、看護師として働く中でも、
このような勘違いを耳にすることがありました。

医療の世界はとても広く、
一度学んだ知識でも、
普段あまり関わらない分野については、
少しずつ曖昧になっていくことがあります。

今回は、
混同されやすい「子宮」と「卵巣」の役割について、分かりやすく整理してみたいと思います。

「女性ホルモンは卵巣だけが作っている?」【詳細

「女性ホルモン」と呼ばれているものには、
卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンなどがあります。

ただし、女性ホルモンの産生には、卵巣以外の臓器や組織も関わっています。

副腎などでも、性ホルモンのもとになるホルモンが作られています。
また、体内ではホルモンが別のホルモンに変換されたり、さまざまな組織で代謝されたりするなど、複数の臓器や組織が関わっています。

例えば、副腎では「DHEA」などのアンドロゲンが分泌されており、これらは体内でエストロゲンなどに変換されることがあります。

このように、女性ホルモンの働きは卵巣だけで完結しているわけではありません。

この記事では、まず基本となる「卵巣がエストロゲンやプロゲステロンを主に分泌し、それらが子宮などに作用する」という仕組みに焦点を当てて説明します。


子宮と卵巣の役割の違い

名前はよく一緒に聞きますが、実は役割は大きく異なります。

子宮卵巣
主な役割受精卵を迎え、妊娠を維持する卵子を育て、排卵する
ホルモン女性ホルモンを主に分泌する臓器ではないエストロゲン・プロゲステロンなどを分泌
1つ左右に1つずつ、2つ
月経との関係ホルモンの働きで子宮内膜が厚くなり、妊娠が成立しなければ月経として排出されるホルモン分泌によって月経周期を調節する
妊娠との関係胎児が育つ場所になる排卵やホルモン分泌を通して妊娠を支える

子宮の役割

子宮は、赤ちゃんを育てるための臓器です。

受精卵が着床し、
妊娠期間を通して赤ちゃんが育つ場所になります。

また、妊娠していない時には子宮内膜が厚くなり、
不要になると月経として排出されます。

つまり子宮は「妊娠・出産のための臓器」です。


卵巣の役割

一方、卵巣には大きく2つの役割があります。

  • 卵子を育てる
  • 女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)を主に分泌する

この女性ホルモンは、

  • 月経周期
  • 妊娠
  • 骨の健康
  • 血管
  • 自律神経

など、全身に影響を与えています。

そして卵巣は、
子宮の左右に1つずつ、合計2つあります。

そして、ここがまた「人体っておもしろい」ポイントでもあります。

卵巣は左右に2つありますが、
腎臓も左右に1つずつあります。
その腎臓の上にある副腎も、左右に1つずつ。
耳も、目も、肺も左右にあります。

「なぜ人体には、左右に2つあるものがこんなに多いのだろう?」

そう考えてみると、体のつくりには、まだまだ不思議が隠れているように感じます。


子宮と卵巣の関係

構造上のつながり

卵巣から排卵された卵子は、
卵管の先にある「卵管采」に取り込まれ、
卵管を通って子宮へ向かいます。

つまり、卵巣と子宮は直接つながっているわけではありませんが、卵管を介して、生殖の仕組みの中でつながっています。

では、卵巣と卵管が直接つながっていないのに、
排卵された卵子はどうやって卵管に入るのでしょうか。

卵管の先には「卵管采」と呼ばれる、
指のようなひだがあります。

排卵の際には、卵管采が卵巣の近くで卵子を取り込み、卵管へと導きます。

つまり、卵子は卵巣から直接卵管へ入るのではなく、
いったん卵巣の外へ出てから、卵管采に取り込まれて卵管へ入っていくのです。

卵巣と卵管は、直接つながっていない。

それでも卵子が卵管へ進めるよう、
体には巧妙な仕組みが備わっています。

こうして見てみると、人体の構造って本当におもしろいですよね。

仕組みとしてのつながり

卵巣と子宮は、
月経周期の中でも密接に関わっています。

卵巣では、月経周期に合わせて女性ホルモンが分泌されます。

月経が終わるころから、
卵巣では卵胞が育ち始めます。

卵胞が成長するとエストロゲンの分泌が増え、
その働きによって子宮内膜も少しずつ厚くなっていきます。

そして、排卵が起こると、
排卵後の卵胞は「黄体」と呼ばれる状態に変化し、プロゲステロンを分泌します。

プロゲステロンには、厚くなった子宮内膜を維持して、
受精卵が着床しやすい環境を整える働きがあります。

エストロゲンとプロゲステロンの違い

エストロゲンとプロゲステロンは、
どちらも女性の体に関わる重要なホルモンですが、働きには違いがあります。

エストロゲンは、
卵胞の発育や排卵に関わるほか、
子宮内膜を厚くして、妊娠に備える働きがあります。
また、骨や血管、脳など、全身のさまざまな組織にも作用しています。

プロゲステロンは、
排卵後に主に卵巣から分泌され、
厚くなった子宮内膜を維持して、
受精卵が着床しやすい環境を整える働きがあります。

ざっくり言うと、

エストロゲン=子宮内膜を「育てる」
プロゲステロン=その内膜を「維持する」


というイメージです。

もちろん実際の体の仕組みは、もう少し複雑です。
ですが、今回のテーマでは、
大きくこの2つのホルモンの役割を知ると、月経周期の流れが分かりやすくなると思います。

妊娠が成立しなければ、
エストロゲンやプロゲステロンの分泌が低下して、
子宮内膜がはがれて月経として排出されます。

一方、妊娠が成立すると、
ホルモンの働きによって子宮内膜が維持されて、
受精卵が育つための環境が保たれます。

つまり、

卵巣が女性ホルモンを分泌する

女性ホルモンが子宮内膜に働きかける

子宮が妊娠に備える

というように、卵巣と子宮は、
それぞれ異なる役割を持ちながら連携して働いています。

ホルモンを作る卵巣」と「そのホルモンの影響を受けて働く子宮」。

この2つは、別々の臓器でありながら、
女性の体の中で密接に関わっています。


子宮を摘出すると更年期になる?

これもよくある疑問です。

答えは、
「子宮だけを摘出して、卵巣が残っている場合、
通常は卵巣からの女性ホルモンの分泌は続きます。」

なぜなら、エストロゲンやプロゲステロンを主に分泌しているのは卵巣だからです。

一方で、卵巣を両側とも摘出すると、
女性ホルモンは急激に減少し、
更年期症状が現れることがあります。

ただし、子宮だけを摘出した場合でも、
卵巣への血流の変化などにより、
閉経が少し早まる可能性があることも報告されています。


女性ホルモンは「ほんの少し」で体を支えている

驚かれる方も多いのですが、
女性ホルモンは、体内に存在する量そのものはごくわずかです。

それでも、そのわずかなホルモンが、
骨や血管、脳など、全身のさまざまな組織に影響を与えています。

私たちの体は、本当に繊細なバランスの上に成り立っているのだと感じます。

子宮は妊娠のための場所。
卵巣は卵子を育て、女性ホルモンを分泌する場所。

それぞれの役割は違っていても、互いに影響し合いながら、私たちの体を支えています。


おわりに

子宮と卵巣は、同じ「女性の臓器」として語られることが多いですが、
その役割はまったく異なります。

仕組みを知ることで、
更年期や婦人科の病気、ホルモン治療についても理解しやすくなります。

体のことを知ることは、自分自身を大切にする第一歩。

このブログでも、少しずつ解剖生理の面白さを分かりやすくお伝えしていけたらと思います。


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